エネルギー料金支援、その設計は本当に「公平」か
政府によるエネルギー料金支援は、事務手続きの簡素さを理由に続けられている。 急激な物価上昇が続く現在、あらゆる価格のベースとなるエネルギー料金を抑えることは、物価高騰のドミノ倒しを防ぐ「即効性のある止血策」として一定の評価はできる。 しかし、その効果を認めた上でも、この制度の設計思想そのものに横たわる歪みは見過ごせない。 支援なのか、浪費への奨励なのか。 現在の補助金は「使用量」や「販売量」に連動する。つまり、電気やガスを多く使った世帯ほど恩恵を受け、節約に努めた家庭ほど恩恵が少ない。 石油などのエネルギー調達が不安定な今、本来なら省エネを奨励すべき政府が、真逆のベクトルに働く要因を長期に放置しているのは奇妙と言うほかない。 さらに歪んでいるのが供給側の構造だ。需要側がコスト高に苦しむ一方で、一部のエネルギー企業は過去最高益を記録したことは記憶に新しい。国民の税金が価格抑制の名目で投じられながら、その一部が企業の利益を押し上げたことには、強い懸念がある。 世界に目を向ければ、市場を歪めずに生活者を救う選択肢はいくつもある。 超過利益税(ウィンドフォール税): 異常な市況で得た「棚ぼた」の利益を回収し、財源にする。 定額の直接給付: 使用量に連動させず一律給付にすれば、節約した世帯ほど相対的な恩恵が大きくなる。 カナダ流の「炭素税還付方式」: 上乗せされたコスト分を、そのまま定額で国民の口座に戻す設計。 「デカップリング」規制: 電力会社の収益を販売量から切り離し、省エネを促しても事業者が損をしない仕組み。 インフラの構造改革: 中長期的には、送電網(系統制約)の解消による再生可能エネルギーの本格活用で、価格そのものを構造的に下げる。 ただし、これら先進的な規制や超過利益税には、極めて「日本的な」弱点が潜む。 たとえ導入が決まったとしても、政策決定プロセスを通過する過程で業界団体の要求が巧妙に反映され、「例外規定」や「特例措置(グリーン投資へのロンダリングなど)」が次々と...