「エモさ」で平和を手放すな、と歴史は語る
高市首相の台湾に関する発言をきっかけに、中国の対日措置がさらに強化された。 日中は互いに譲れないチキンレースを始めたかに見える。 この構図は、太平洋戦争直前に米国が日本に突きつけた外交要求書、ハル・ノートに似ている。 ハル・ノートには、日本が満州や中国での侵略行動を控えることや、国際的に合意した条約を順守することなどが要求されていた。 それは、「満蒙(満州と内モンゴル)は日本の生命線」とまで謳っていた日本にとって受け入れがたい内容だったため、日米間の緊張が極度に高まった。 結果として、日本は米国に対する憎悪に突き動かされ開戦を決意、真珠湾攻撃に至った。 怒りや感情が戦争の燃料になり得ることは、歴史が示しているのだ。 軍拡を堅調に進める為に世論をリードしてきた政府(軍を含む)だったか、いつしか立場が逆転。いれ込み過ぎた国民世論に逆に突き上げられて、開戦に踏み切らなければ国民が暴動を起こし内戦と化す心配すらしていたんだ。 私は当時の様子をこの目で見た訳では無いけれど、戦争体験者であり、豊かな取材経験を持つ、ジャーナリストの田原総一朗さんの著書に、この辺りのことが書かれている。 では現在の私たちはどうだろうか。SNSから繰り返し耳目に入ってくる類似情報を通じて、中国憎しの感情に無自覚のうちに刷り込まれ、さらに増幅させられてはいないだろうか。 今の中国は、日本の5倍の国力を持つ。軍事力も日本に対して圧倒的だ。高市首相が頭を下げるより、むしろ中国の首脳は、日本から先に開戦を決意して欲しいと望む可能性すらある。かつてのアメリカ首脳が日本から戦端を開くことを待っていたように。 だとすれば、日本のさらなる右傾化こそ、中国の望んでいることだ。穿った見方をすれば、中国の日本に対する締めつけは、敢えて増悪を引き出すため。 まあ、それは今のところ私の想像の域を出ないんだけど、歴史の教訓を忘れないこと。そして、感情が政治や外交を歪めるリスクは常に存在するという意識...