黙示録のラッパを、吹かせてはならない
−第一のラッパが鳴った−
アメリカによるイラン核施設への空爆に、黙示録の1節が、不意に頭をよぎった。
七人の天使が手にしたラッパ(Trumpet)が鳴り響く度に、地上に深刻な災厄がもたらされるという、あの黙示録だ。ヨハネの黙示録とも呼ばれる。
しかし、ラッパを吹いたのは、天使ならぬイスラエル首相ネタニヤフ。彼が吹き鳴らしたTrumpet とは、アメリカ大統領トランプ(Trump)その人だ。
黙示録によると、第一のラッパで、雹と火が地に降り、地の三分の一が焼かれる。
イランの核施設への先制攻撃。それは、地上の一点への爆撃に留まるものではない。
「先に攻撃するのが正義」「未然に破壊すれば平和」という論理が、これをもって正当とされるなら、世界中の火薬庫に火が回るのは時間の問題だ。 黙示録にあるように、地の三分の一が焼かれる。それが未来図になりつつある。
また、今回の核施設への空爆では、辛うじて核汚染による災厄は免れたが、一度、核施設への攻撃を常套の手段として認めてしまえば、戦争の度に繰り返される危険が生じる。
黙示録の第二のラッパでは、燃える山が海に投げ込まれるとあるが、これはまるで、核施設や原子炉が破壊され、汚染が海へ広がる様子を描写しているかのようだ。
私達はこの先、第二のラッパを吹こうとする者が現れぬよう、今回のイスラエルとアメリカによる核施設への攻撃を最大級の声で非難するとともに、予防策を講じなくてはならない。
断っておくが、この先にラッパを吹き鳴らす者が続いたとしても、最後の第の七のラッパによりもたらされるという神の国は来ない。
なぜなら、今、起こっていることは神の計画などではなく、飽くまでも人による愚行だからである。
例え、天の使いの如く振る舞い吹き鳴らそうとも、鳴り響いているのは、人による災厄のファンファーレなのだ。