自民党総裁選と「金で総理が買える」矛盾
日本の政治を象徴する奇妙な矛盾の一つが自民党総裁選だ。公職選挙法の適用外であるため、党内での票の取りまとめに関しては、寄付や資金の使い方に厳格な制限がない。つまり、金で票を買う「買収」が合法的に可能になる。
自民党総裁は事実上、ほぼ総理大臣となる訳だから、党内選挙の結果がそのまま国家の最高指導者を決めることになる。もしここで、資金力や党内の人脈に長けた候補が有利になるのだとしたら、民主主義の本来の理念である、有権者の意思に基づくリーダー選びは空洞化する。
さらに現代では、SNSを通じたステマ的な情報操作も可能だ。党内での評判操作や支持者動員も事実上制約が少なく、倫理的に問題のある情報戦略が、結果として総理の椅子を左右しかねない。この現実を多くの国民が疑問視せず、マスコミも深く追わない状況は、政治の透明性を著しく損なう。
自民党内の規約により、総裁選で買収が行われることは無い。昔の自民党総裁選の用に実弾(現金)が飛び交うことは無いと擁護する人もいるかもしれない。
しかし、それは本当だろうか?河合夫妻の事件でも明らかなように、公職選挙法の規制があっても自民党は買収を行った。より規制の緩い総裁選で金で票が動かないと言えるだろうか?
また、今回の総裁選では、よりによってステマを規制する立場にあった元デジタル担当大臣がSNSステマを指示するという倫理性の低さを露呈している。
結局、この「合法的に総理の椅子が買える構造」は、制度上の問題であると同時に、国民やマスコミの政治的問題意識の低さをも露呈している。
民主主義を守るには、単に選挙に行くだけではなく、こうした制度の抜け穴や矛盾を理解し、声を上げることが必要だろう。
自民党総裁選は、国の未来を左右する重大な人事なのだから。