日米中三方良しで、日本国民だけが泥を被る、高市舌禍の構造的危険
高市氏の舌禍が国際問題となっているが、これを単なる「失言」として処理すると実態を見誤る。むしろ今起きているのは、高市・習近平・トランプの三者がそれぞれ得をする構図であり、そのコストを日本国民だけが負担させられる危険だ。
まず高市にとって、外交トラブルは痛手であると同時に、国内では安全保障強化の象徴として支持を固める材料にもなる。中国が軍事的圧力を強めれば、その不安から「やはり防衛力強化が必要だ」という空気が国民の間に醸成され、防衛増税や法改正が通りやすい状況を産む。窮地に見えて実は追い風にもなるパターンだ。
一方で習近平政権は、国内に深刻な不満を抱えている。不動産不況、失業、不満の蓄積など。こうした問題への国民の不満を逸らすには外敵の存在が便利で、日本はその役にうってつけだ。対日強硬姿勢を示せば国内の支持維持に使える上、日米の立場のズレを誇張して国際的に揺さぶりをかけることもできる。日本側の硬化は、中国側からすればむしろ美味しい材料でしかない。
そしてトランプだ。トランプは一貫して「アメリカは金を払わない」「同盟国が負担せよ」という方針を持つ。日本と中国の緊張が高まり、日本が前面に出るほど、アメリカは後ろに構えて得をすることができる。日本のアメリカに対する防衛依存度が上がり、アメリカ製兵器の購入が増え、日本が米中対立の盾として前に立つ。この構図は、費用対効果の点でトランプにとって理想的ですらある。
こうして見ていくと、高市氏・習近平・トランプの三者は、対立構造の中でそれぞれ国内的な利益を得られる一方、その代償は日本国民が支払う形になる。
防衛増税、軍事緊張の高まりから来る不安、経済リスク、これまで築いてきた民間外交の棄損などの負担はすべて日本国民に寄ってくる。
つまり、これは偶然の行き違いではなく、「三方良しで、日本国民だけが損」という構造そのものが、今の情勢に内蔵されているということだ。泥を被るのは日本国民だけ。そんな状況に陥らないように、政府を監視しようじゃないですか。